森の中の老婆

『森の中の老婆』の解説

  • タイトル森の中の老婆
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名森の中の老婆
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『森の中の老婆』の全文

    ある貧しい使用人の少女が、お仕えしているお屋敷の家族と共にとても深い森を旅していました。

    森の奥を通りかかったところで、茂みから強盗がふいに現れ、手あたり次第殺していきました。皆死んでしまいましたが一人生き残った少女は恐怖におびえながら馬車から降り、木の後ろに隠れました。

    金銀を持ち去った強盗がいなくなった後、少女は恐る恐る戻ってみると、そこはもう大惨事になっていました。そして少女はひどく泣き始め、言いました。

    「私に何ができるというの?どうやって森を抜けだしたらいいのかもわからない。みんな死んでしまったわ。きっと私は飢えて死ぬんだわ。」少女は辺りを歩いて道を探してみましたが、道一つ、見つかりませんでした。夕方になり、少女は木の下に腰を下ろしました。神のご加護を祈り、どこにも行かず、そこで待つことにしました。夜中になるのをただ待つことにしたのです。

    少女がそこにしばらくの間座っていると、白い鳩が、黄金の鍵をくちばしにくわえ飛んできました。鳩は少女の手にその小さな鍵を渡すと、言いました「汝、その大きな木を見るがよい。そこに小さな鍵穴が見えるであろう。その鍵穴はこの鍵で開けることができるのだ。そこにはそなたのために用意された食物が十分にある。これで飢えることはないであろう。」

    少女はその木の元へ行き、鍵を開けました。そして小さなお皿に入ったミルクや、白いパンを見つけました。お陰で少女はお腹いっぱい食べることができたのでした。少女は満腹になり、言いました。「もうじき夜になるわ。私もこれで眠ることができるのね。」

    すると鳩がまた飛んできて、くちばしに別の黄金の鍵をくわえて言いました。「あの木を開けなさい。そこにはベッドが用意してある。」少女は言われた通りに開け、美しいベッドを見つけました。少女は夜の間身を守って下さる神のご加護に感謝し、横になり、眠りにつきました。

    朝になり、三度目に鳩が飛んできました。そしてまた小さな鍵を持ってきて言いました。「そこにある木を開けなさい。そなたへの服が用意してある。」少女はまた言われた通りに開け、宝石がちりばめられ、金で装飾された美しい衣服を見つけました。それは他のどの王女よりも素晴らしいものでした。そうして少女はしばらくそこで暮らすことにしました。鳩は毎日来て、少女が必要とするすべてのものをもたらしてくれました。それはとても良質な暮らしでした。

    しかし、ある日、鳩は飛んできて言いました。「汝、私のために何をしてくれようぞ。」「わたくしのすべてを差し上げます。」と、少女は答えました。そしてその小さな鳩は言いました。「小さな家へ汝を案内しよう。そこについたら、中に入りなさい。そこには老婆が暖炉の傍に座って、「こんにちは」と声をかけるであろう。しかし決して返事をしてはならぬ。老婆が何を言おうと、そのまま言わせておくのだ。老婆の右側を通り、その先にあるドアを開けなさい。そして中に入り、その部屋にあまたあるきらびやかな王の指輪には目もくれず、その中から一番質素な指輪を探し出し、私のためにできるだけ早く持ち帰ってきておくれ。」

    少女は小さな家へと向かい、そのドアの前に立ちました。そこには老婆が座っており、じろりと少女を見て言いました。「こんにちは、よいこだね。」少女は何も答えず、ドアを開けました。「どこへいくんだい。」老婆は叫び、ガウンで少女をとらえて、しっかりとつかみ「私の家だ。私が許さぬ限り、誰もこの家に入れはせぬ。」と言いました。しかし、少女は黙ったまま、老婆から逃げ出し、部屋にそのまま入りました。そこにはテーブルの上にたくさんの指輪があり、少女の目の前できらめきを放っていました。少女はそれらをひっくり返し、質素な指輪を捜しましたが、なかなか見つけることができません。捜している間、老婆が指輪を持ち去り、そして手にしていた鳥かごを持って逃げようとしてるのを見つけました。

    少女は老婆の後を追いかけ、手から鳥かごを放させ、持ち上げ中を覗いてみると、そこにはくちばしに質素な指輪をした鳥がいたのでした。少女は指輪を取ると、喜んで住んでいた場所へ戻りました。小さな白い鳩が来て指輪を受け取るだろうと思っていたのですが、鳩は飛んできませんでした。少女は木に寄りかかり、鳩を待とうと決心しました、少女が立ち上がると、まるでちょうど木が柔らかくその枝を下へと下げてくれているかのように見えました。突然、枝は少女を包み込み、二本の腕となり、少女が見回したその時、木はハンサムな男の人に変身し、少女を心から抱きしめ、キスをし、そして言ったのでした。

    「汝は、私をあの年老いた魔女の魔力から解放してくれたのだ。あ奴は私を木に変えた。そして毎日二時間だけ、私は白い鳩の姿になることが許されていた。魔女が指輪を持つ限り、私は人間の姿に戻ることはできなかったのだ。」

    そして、同じように木に姿を変えさせられていた彼の使用人と馬は元の姿に戻り、周りを取り囲んでいました。彼は皆と共に王国ヘと戻り、その国の王子だったので、二人は結婚し、幸せに暮らしました。

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