十二人の狩人

『十二人の狩人』の解説

  • タイトル十二人の狩人
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名十二人の狩人
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『十二人の狩人』の全文

    あるところに、とても愛してやまない許嫁と婚約している王様の王子がいた。そして彼は、彼女とともにいた時、とても幸せであった。父が病に倒れ、死んだという知らせを耳にして、彼はもう一度父の最期を見たいと望んだ。

    そして王子は愛する許嫁に「私は君を置き去りにして行かねばならない。私が王になったら、きっと君を連れに戻ってくるから、その時の証として指輪を渡そう。」と言った。

    こうして王子は、馬に乗って出かけた。そして王様のところへ着いた時、王様の病は悪化していてもう死の間際だった。王様は、王子を見てこう言った。

    「愛する息子よ、私は死ぬ前に、もう一度お前の顔が見たかった。どうか私の言う女性と結婚すると約束してくれ。」と言い、幾つか息子のお妃候補としてある王の娘の名前を挙げました。

    王子は、まさか父親がそんなことを言うとはと思って驚いたが、「はい、親愛なる父上。父上の仰るままに。」と言い、そうするとたちまち安堵した王様は、目を閉じて死んだ。

    新しい王になった王子は、逝去した王に誓った約束の通りに、とある王女と結婚することになっていた。このことが、許嫁に知られ、彼女は大変悲しんでとても痩せ衰えてしまった。

    この様子を見て、彼女の父である王様が「元気を出すんだ。お前の望みはなんでも叶えてあげるから。」と言った。すると彼女は少し考えていたが、こういった。

    「親愛なるお父様、顔も、姿も、背丈も、私と全くそっくりの女の子が11欲しいのだけど、できますかしら。」

    「わかった、望みを叶えてあげよう。」

    王様はこう言って、国中を捜査させて、顔も姿も背丈もすべて娘とそっくりの女の子を11人見つけ出した。この女の子達が、王女のところへ行くと、王女は狩人の着る服を12着作らせた。その服はどれもこれもそっくりであった。

    そして、11人の女の子たちに、この狩人の服を着させて、彼女自身も12枚目の服を着た。

    それから王女は、王様に別れの挨拶をし、女の子達を連れて馬に乗って出かけた。王女たちは許嫁だった王子のお城へ来た。

    そして「狩人はご入用ではないか」これだけの人数を同時に雇ってくださらないか」と言ったのだった。婚約者であった王様は、狩人になった王女たちを見たのだが、そうとは気がつかず、皆美人であったので雇った。

    こうして皆は、王様の12人の狩人となったのだった。さて、この王様は1匹のライオンを飼っていたが、このライオンは人の言葉がわかるとても賢いライオンであった。

    とある晩、ライオンが王様にこう言った。

    「王様は、12人の狩人を雇ったと思っておられるでしょう?」

    「そうだ、あれは12人の狩人だから。」

    「とんでもない話だ。あれは12人の女の子達だ。」

    「まさかそんなわけがない。どこにそんな証拠があるというのだ。」

    「よろしゅうございます。王様の次の間にえんどう豆を撒かせてみて。すぐにわかるだろう。男なら豆の上を歩くときでもしっかりとした足どりで歩くので、豆は一つも動かない。だけど、女の子の場合はちょこちょこ歩くので豆がコロコロと転がる。」

    「わかった、やってみよう。」

    王様は、ライオンの考えた通りにえんどう豆を撒かせた。しかし、王様の家来の中に、狩人たちと仲のいい男がおり、すぐに皆のところへ言ってその話を聞かせてしまった。そのあとこう言った。

    「ライオンは、あんたたちが女の子だと言って王様を騙そうとしているのだ。」

    王女はそれを伝えた家来にお礼を言って、そして女の子たちにこう言った。

    「あんたたち、しっかり頑張って豆を踏み潰すんだよ。」

    次の日、王様は12人の狩人を呼び出した。12人の狩人はえんどう豆が撒いてある次の間に入っていった。ところが、皆豆をしっかりと踏みつけて、確かな足取りで歩いたので、豆は一個もつぶれたり転げたりしなかった。皆が出て行ってしまってから、王様はライオンにこう言った。

    「お前は嘘をついたのではないか。皆の歩き方は男のようだ。」

    するとライオンは、こう答えた。「皆は自分たちが試されることを知っていたので、それで無理やり男のように頑張ったのである。今度は一つ、糸を紡ぐ紡ぎ車を12台、次の間に運ばせて。そうすれ皆そのそばへ寄って、嬉しそうに触るだろう。男ならそんなことはしないだろう。」

    「わかった、ではやってみよう。」

    王様は12台の紡車を、次の間に運ばせた。そうすると先の家来がやってきて、早速出かけて行き、このことを打ち明けた。それで王女は家来にお礼を言って、11人の女の子達にこう言った。

    「皆頑張るんだ、紡車の方には目をやるんじゃないよ。」

    そして次の日、王様が12人の狩人を呼び出したが、誰も紡車に目を向け図、次の間を通って行った。そこで、王様はまたライオンにこう言った。

    「お前は嘘をついた。あれ達は男である。紡車には目もくれなかったぞ。」

    そう言うとライオンはこう答えた。「あれらは自分たちが試されることを知っていたから、無理に頑張ったのだ。」

    だけども王様は、もうライオンの言うことを信じようとはしなかった。12人の狩人は、いつでも王様のお供として狩りに出かけた。王様も王様で、お供をさせればさせるほど、皆のことを可愛く思うようになった。

    ところがある時、狩りの最中に、王様の花嫁がいよいよお輿入れになるという知らせが入った。これを知った狩人の王女は、あまりの悲しさに気が遠くなり、ばたりと倒れてしまった。

    「大丈夫か!?」王様は可愛がっていた狩人の手当てをしようとして、はめていた手袋を脱がせた。「なんとこれは!」

    その時、王様は大好きだった許嫁に渡していた指輪を見たのだった。顔をよくよく見ると、確かにその人だったということがわかった、王様は心打たれて、王女に温かいキスをした。そして、王女が目をパチリと開けたのを見て、

    「君は僕のものだ、そして僕は君のものだ。この世界のどんな人間でも、これお変えることはできないのだ。」と言った。

    そして、もう直ぐやってくる花嫁のところには使いをよこして、「実は前から妻となる女の人が決まっていて、彼女と再会することができた。古い鍵が見つかれば、新しいもの必要がない。どうかあなたはご自身のお城へ戻るように。」と丁寧にお詫びをした。

    それから直ぐに二人は結婚した。

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