なぞなぞ

『なぞなぞ』の解説

  • タイトルなぞなぞ
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名なぞなぞ
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『なぞなぞ』の全文

    昔あるところに王の息子がおりました。彼は世界中を旅するという欲望に取りつかれて、忠実な従者を一人だけ連れ、他に供を連れておりませんでした。

    ある日彼は広大な森へ出ました。そして、暗闇が彼を覆うようになっても、小屋を見つけることができず、夜を明かす場所も分からずにいました。そんな時彼は一人の少女を見つけ、その少女は小さな家の方へ向かっていました。そしてさらに近づいてみると、若く美しい娘であることが分かりました。彼はその娘に声をかけました。

    「娘さん、私と私の家来は今夜、あの小さな家に寝床をとってもよいだろうか?」「はい、それはもう・・」と娘は答えました。

    そして悲しげな声で、「それはもちろん。ただ、私はあなた方がそのような危険を冒すことはやめた方がよいと思います。中にお入りにならないように」と言いました。

    「なぜ中に入るなと?」王の息子が尋ねると、その若い娘はため息をついて言ったのです。

    「私の継母は悪い魔法を使うのです。そしてよそ者が来ると悪い行いをするのです」

    それを聞くと、彼はたどり着いた魔女の家をじっくりと眺めました。辺りは暗くなり、これより先へは進むことはできません。そしてまた恐れる気持ちもなかったので、中へと入って行きました。老女が暖炉のそばのひじ掛け椅子に座っていました。そして見知らぬ旅人を、赤い眼をしてじっと見つめました。

    「ようこそ」と唸るように言い、老女は親しげな振りをしました。「腰を下ろして、ゆっくりくつろいでくださいな」老女は、暖炉に空気を入れると、小さな鍋で何かを作り始めました。娘は二人に、慎重に、何も食べずに何も飲まずにいるように警告しました。というのも老女は悪魔の飲み物を作っていたのです。彼らは、夜明けまで静かに眠りました。

    二人が出発の準備をしているとき、王の息子はすでに馬にまたがっておりましたが、「お待ちくださいな、別れの酒を初めにお渡ししますで」と言って老女が酒を取りに行く間に、王の息子は出発してしまいました。

    蔵を馬の背にきつく締めていた従者がただ一人、老女が酒を持って戻ってきたときに残っていました。

    「ご主人にお持ちくだされ」老女が言ったその瞬間に、グラスが割れて中の毒が馬に降りかかったのです。そして、その毒はとても強かったので、その動物はすぐに倒れて死んでしまいました。従者は主人を追いかけて、起こった出来事を報告しましたが、蔵を置いたままにしたくはなかったので、それを取りに戻りました。

    しかし、従者が死んだ馬のところに戻ってみると、すでに一羽の大カラスが居座り、馬の死肉を貪っていました。「今日我々に、もっと良いことが起こるものかどうか、誰が分かろうか」

    そういうと従者は、大カラスを殺し、それを持ち帰りました。さてそれから、二人は一日中森の中を旅して周りましたが、森から抜け出すことはできませんでした。日暮れまでに彼らは宿を見つけて中に入りました。従者は、大カラスを夕食に使うよう、宿の主人に渡しました。しかし彼らは、殺人者の巣窟に偶然にも出くわしていたのでした。

    暗闇に紛れて12人の仲間たちが集まり、旅人たちを殺め、財産を奪おうとしていました。しかし彼らはその悪事に取り掛かる前に、夕食の席についたです。宿の主人と魔女も一緒でした。大カラスの生肉を使ったスープが一人に一皿ふるまわれました。しかし2口ほど口いっぱいにスープを頬張るとすぐ、彼らは皆倒れて死んでしまいました。というのも、大カラスが馬の生肉の毒を彼らにもたらしたためでした。今はもう、彼らの残酷な悪事に参加せずにいた、正直者の宿主の娘のみがこの家に残るのみでした。

    彼女は、家中の扉を開けて、旅人たちに宝の山を示したのです。しかし王の息子は、娘に宝を大切に持っているように言うと、彼が一つでも宝を持ち去ることはなかったでしょうが、家来とともに旅に出ました。彼らが旅に出て長い時間が経ったころ、美しいが高慢な王女が住む町にやってきました。その王女は、彼女が解くことができないなぞかけをした者が彼女の夫になるだろうと、宣言していました。

    しかし、もし王女がなぞを解いたら、その者の首は切り落とされたました。王女には考える猶予が3日間ありました。彼女はとても賢い人だったので、その期日までにいつも与えられたなぞかけの答えをみつけてしまいました。すでに9人の求婚者がこの方法で死んでいました。

    王の息子はこの町を訪れると、王女の偉大な美しさにすっかり夢中になり、彼女との結婚に生命をかけて挑むことにしました。そうして王女のもとを訪れ、彼の考えたなぞなぞを彼女の前に披露したのです。「これは何でしょう?」彼は言いました。「ある者は誰も殺していない、しかし12人が殺された」

    王女はそれが何のことか分かりませんでした。考えても考えても答えが見つかりません。彼女が所有しているなぞかけの書物を開いても、結局、答えはそこには書かれていませんでした。

    彼女の知恵も尽き、王女はどうすればよいか分からなかったので、召使に彼の寝ている部屋に忍び込み、夢うつつの時になぞの答えを聞き出すよう命じました。おそらく眠っている時ならば話してしまうので、答えがわかるだろうと考えたのです。

    しかし賢明な従者は、主人と寝床を代わっていたために、王女の召使がやってきたとき彼女を包み隠していたマントを剥ぎ取り、棒を使って追いやってしまいました。二日目の夜、王女は召使をまた彼の部屋に送りこみ、今度はうまく聞き出すことができたかどうか、確認しようとして待っていました。しかし従者がまたしても彼女を覆い隠していたマントを剥ぎ取り、棒で追い出してしまったのです。

    三日目の夜、今度は主人も安全と考え、自分の寝床で休みました。王女も自らやってきました。薄い鼠色のコートを着ていました。そして彼のそばに座り込むと、主人は寝入って夢うつつだと考えたので、彼に話しかけました。多くの者がそうであったように、彼も眠りながら答えるだろうと期待しました。しかし彼は目が覚めていたのです。すべてを理解し、しっかりとはっきりと聞こえていました。

    そうして、彼女は尋ねました。「あるものは誰も殺してはいない、それは何のこと?」彼は答えました。

    「大カラスだ。毒で死んだ馬の肉を食べて、死んだ」さらに彼女は尋ねました。「では、12人を殺した、それは何のこと?」彼は答えました。「12人の殺人者たちだ。大カラスを食べて死んだのだ」

    王女はなぞかけの答えが分かったら、こっそりと抜け出したかったのですが、主人が彼女のマントを取るのがあまりに素早かったので、置いて去るしか他にありませんでした。翌朝、王女はなぞを解いたと声明を出し、12人の審判を呼びに使いを出しました。そして彼らの前でなぞ解きを披露したのです。

    しかし若者は釈明を請い、説明しました。

    「王女は夜に私の部屋に忍び込み、私に尋ねたのです。そうでなければなぞを解けるはずがありません」

    審判は「証拠は?」と言いました。3枚のマントが、離れたところから従者の手によって運ばれてきた。そして審判たちは、王の娘がいつも身に着けていた薄い鼠色のマントを見て、言いました。

    「マントを金と銀の刺繍で飾らせましょう、そうすれば貴女の婚礼衣装になるでしょう」

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