赤ずきん

『赤ずきん』の解説

  • タイトル赤ずきん
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名赤ずきん
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『赤ずきん』の全文

    昔あるところに小さな愛らしい女の子がいました。この女の子に会った人はみな彼女のことを好きになりましたが、特に彼女のおばあさんはこの子のことが大好きで、いつも何かをあげたがっていました。ある日おばあさんは女の子に赤いベルベット生地で出来た小さな頭巾をあげました。それは女の子にとてもよく似合い、そして彼女はいつもこの頭巾をかぶりたがりましたので、彼女はいつしか赤頭巾ちゃんと呼ばれるようになりましたた。

    ある日女の子のお母さんが言いました。「赤頭巾ちゃん、いらっしゃい。ここにケーキとワインがあるわ。これをおばあちゃんのところに持って行っておあげ。おばあちゃんは病気で弱っているの。でもこれを持って行ってあげたら元気が出るわ。ちゃんとお行儀よくして、私がよろしく言っていたと伝えてね。道草をしないように気をつけてお行きなさい。じゃないと途中で転んでワインの瓶を割ってしまうかもしれないわ。そうしたら病気のおばあちゃんに渡すものがなくなってしまうでしょ。」

    赤頭巾はお母さんのいいつけを必ず守ると約束しました。おばあさんは町から30分ほど行ったところにある森の中に住んでいました。赤頭巾が森の中へ入ると、おおかみに出会いました。赤頭巾は彼がどんなに悪い動物か知らなかったので怖がりはしませんでした。

    「ごきげんよう。赤頭巾。」

    「あらありがとう、おおかみさん。」

    「こんなに朝早くから一体どこへ行くんだい、赤頭巾。」

    「おばあちゃんのところへよ。」

    「そのエプロンの下に隠れているのは何だい。」

    「おばあちゃんはご病気で弱っているから私がケーキとワインを持って行ってあげるの。ケーキは昨日焼いたのよ。これを食べればおばあちゃん、きっとよくなるわ。」

    「赤頭巾よ、お前のおばあちゃんはどこに住んでいるんだい。」

    「ここからまだ15分ほども先に行ったところにある3本の大きな樫の木の下にある家に住んでいるの。ハシバミの垣根があるところよ、知ってるでしょ。」と赤頭巾は言いました。おおかみは考えました。「ふむ、ここはなんとかして俺がいいとこどりしてやる。さてどうやってこの赤頭巾を捕まえてやるかな。」

    そこでおおかみは言いました。「ねえ赤頭巾、君は森に美しい花が咲いているのを知っているかい。その花を見に行ったらどうだい。それに鳥たちがどんなに美しい声で鳴いているか君は気づいていないだろう。だって君はまるで町の学校へ行くかのようにただまっすぐに歩いているんだからね。森はとっても美しいところだよ。」

    赤頭巾が目を見開くと、木漏れ日が降り注ぎ、地面には美しい花々が咲いているのが見えました。そこで彼女は考えました。

    「もしも花束を持って行ってあげたらおばあちゃんはとっても喜ぶはずだわ。まだ時間はたっぷりあるし、家にだって時間通りに帰れるはずよね。」そして女の子は森の中に花を探しにに出かけて行きました。彼女は花を一本摘むたびに、もっと美しい花がもう少し先にあるのを見つけ、それを取ろうとどんどん森の奥深くに入って行きました。しかしおおかみはまっすぐおばあさんの家に急ぎ、ドアをノックしました。

    「誰なの?」

    「赤頭巾よ。ケーキとワインを持ってきてあげたの。ドアを開けて。」

    「そこの掛け金を押してごらん。」

    おばあさんが声を上げました。「わたしは病気で立ち上がれないんだよ。」そこでおおかみがドアの掛け金を押すとドアが開きました。おおかみは中に入り、一気におばあさんのベッドのところへ駆け寄るとおばあさんを食べてしまいました。それからおばあさんの服をはぎとるとそれを着て、おばあさんの帽子をかぶりました。彼はおばあさんのベッドにもぐりこみ、カーテンをきつく閉めました。

    赤頭巾は花集めに夢中になって、もう両手に抱えきれないほど摘むと、やっとおばあさんの家に向かいました。彼女がおばあさんの家に着いたとき、驚いたことにおばあさんの家のドアは開いていました。彼女が居間に入るとなぜか全てがとても奇妙に見えたので赤頭巾はこう思いました。

    「あらなんてこと。なんだか怖い気持ちがするのはどうして?いつもはおばあちゃんの家が好きなのに。」それから彼女はおばあさんのベッドの近くに行き、カーテンを開けました。おばあさんはベッドに寝ていましたが、帽子を顔が隠れるように深くかぶり、なんだかとても奇妙に見えました。「まあ、おばあちゃん、あなたのお耳はなんて大きいの!」

    「お前の言うことがもっとよく聞こえるようにね。」

    「まあ、おばあちゃん、あなたの目はなんて大きいの!」

    「お前がもっとよく見えるようにね。」

    「まあ、おばあちゃん、あなたの手はなんて大きいの!」

    「お前をしっかりつかめるようにね。」

    「まあ、おばあちゃん、あなたのお口はなんて恐ろしいほど大きいの!」

    「お前を一口で食べてしまえるようにね!」そしてそう言ったかと思うと、おおかみはベッドから飛び出してかわいそうな赤頭巾の上に飛び乗り、彼女を一気に食べてしまいました。

    おおかみはごちそうを平らげるとすぐに、またベッドにもぐりこみ、眠りに落ちました。そしてとても大きないびきをかき始めました。そこへ猟師が通りかかりました。彼は老婦人がとても大きないびきをかいているのをいぶかしく思ったので、のぞいてみることにしました。彼が家の中に入ってみると、ベッドの中には彼がこれまでとても長い間捕まえようと追い求めてきたおおかみが横たわっていました。

    「おおかみはおばあさんを食べてしまったんだ。でももしかしたらまだ彼女を救い出せるかもしれない。だからおおかみを撃つのはやめよう。」と猟師は思いました。そこで彼ははさみを取り出しおおかみのお腹を切り開きました。最初のいくつかの切れ込みを入れると、その切れ込みの間から赤頭巾が光っているのが見えました。そして続けてもう少し切ると、女の子が飛び出してきて大声でこう言いました。「ああ、本当に怖かった!おおかみの体の中はとっても暗かったの!」

    そして次におばあさんも無事にお腹から出てきました。そこで赤頭巾は大きくて重い石をいくつか集めてきました。みんなでおおかみの体にその石を詰めたので、おおかみが目を覚まし逃げようとした時、お腹の石が重たすぎて彼はばたっと倒れて死んでしまいました。

    3人はとても喜びました。猟師はおおかみの毛皮を剥ぎ取りました。おばあさんは赤頭巾が持ってきてくれたケーキを食べ、ワインを飲みました。そして赤頭巾はこう思いました。「私が生きている限り、もしもお母さんがするなと言ったら、絶対に進むべき道をそれて森の中にひとりで入って行ったりなどしないわ。」

    それからこんなこともあったそうです。赤頭巾がまた別の時におばあさんに焼き菓子を届けに行こうとすると、他のおおかみが話しかけてきてまた道をはずすようにそそのかしました。しかし赤頭巾は用心しておばあさんの家にまっすぐに向かいました。赤頭巾はおばあさんに、途中でおおかみに会い、彼はごきげんようと自分に言ったのだと教えてあげました。でもおばあさんをお茶目に見つめ、「もしも公道でおおかみに出会ったのでなかったら、きっと彼は私を食べていたでしょうね。」と言いました。

    「いらっしゃい。」おばあさんが言いました。「ドアに鍵をかけましょう。おおかみが入ってこられないようにね。」

    その後まもなくおおかみがドアをノックして大声で言いました。「開けて、おばあちゃん。赤頭巾よ。焼き菓子を持ってきたの。」おばあさんと赤頭巾は声を立てず、ドアも開けませんでした。意地の悪いおおかみは家の周りを5、6周し、そして最後に屋根の上に飛び乗りました。彼は赤頭巾がその晩家に帰るまで待つつもりだったのです。そうして赤頭巾のあとをつけ、暗闇にまぎれて彼女をひとのみにするつもりだったのです。しかしおばあさんはおおかみが何をしようとしているのかわかりました。家の前には大きな石の桶がありました。「バケツをとってきておくれ、赤頭巾。」とおばあさんは言いました。

    「昨日ソーセージをいくつか焼いたんだよ。そのゆで汁をバケツで桶まで運んでおくれ。」

    赤頭巾は大きな大きな桶が正にいっぱいになるまでゆで汁を運びました。ソーセージの匂いがおおかみの鼻の中にに立ち上りました。彼はくんくんにおいをかぎ、下を見下ろしました。その時に首をあまりに伸ばしたので、もうこれ以上自分自身を支えられなくなり、滑り始めたのです。彼は屋根から滑り落ち、桶の中に落ちて溺れ死んでしまいました。そして赤頭巾は無事幸せに家に戻ることが出来ましたとさ。

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