ライオンと狐と鹿

『ライオンと狐と鹿』の解説

  • タイトルライオンと狐と鹿
  • 著作者イソップ(アイソーポス)
  • 書籍名ライオンと狐と鹿
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『ライオンと狐と鹿』の全文

    病気になったライオンが石の谷間に横たわり、手足をだらりと地面に伸ばしていました。お友達の狐はずっと彼に寄り添っていました。

    ある日、ライオンは狐に言いました。「君は私が生き延びる事を望んでいると思うので頼みを聞いてくれないか。私は鬱蒼と松の木が茂っているその原生林に住む鹿を食べたくて仕方がない。私には自分で鹿狩りをする力はもはや残っていないが、君の蜜のような話術で罠に掛けてくれるなら、間違いなく鹿は私の手中に収まるだろう。」

    悪賢い狐は立ち去り、原生林の中で鹿を見つけて柔らかい草の上で飛び跳ねました。狐は鹿の前にひれ伏して挨拶をし、喜ばしい情報を伝えに来たと言いました。「ご存知の通り」狐は言いました。「ライオンは私の隣人です。しかし彼は重い病気で今にも死にそうです。そこで彼は自分がいなくなった後、誰が獣の王になるのか考えていました。イノシシは馬鹿ですし、クマは怠慢です。ヒョウは衝動的ですし、虎は自分に留まり孤独を好みます・・・。しかし鹿は見た目が堂々としていて長生きをするので、支配者に相応しいと彼は思っています。そして鹿の枝角はあらゆる種類の蛇を怖がらせて近づけず、その枝角は木のようで、牛の角のようなものではありません!さらに何か言う必要があるでしょうか?あなたは正当に選出されました。あなたは丘の獣たちを支配するでしょう。最終的にそうなった際、おお、女王様、あなたにそれを最初に伝えたのはこの狐であると覚えて置いて下さい。それが私がここに来た理由です。それではこれにて失礼します。私はライオンがまた私を探し回らないように急いで戻らなければなりません。彼は全てに置いて絶対的に私のアドバイスに依存しています。そしてあなたもその尊い知恵に従うのは良い事だと思いますよ。あなたは彼の枕元に行って彼の病を慰める必要があります。人生最後の時間を過ごしている者たちの考えは些細なことで揺れ動くものです。彼らの目には死にゆく魂が映っているのです。」

    これが狡猾な狐が鹿に話した内容です。そして嘘つきのこれらの言葉で鹿の胸はふくれあがりました。彼女は何が待ち構えているのか全く知らずに獣の洞窟にやってきました。ライオンはベッドから無意識に立ち上がって鹿に襲いかかりましたが、気の毒な鹿は出口から飛び出し森の奥に消えていってしまい、結局ライオンはその尖った爪で鹿の耳を切りつける事ができただけでした。

    狐は自分の努力が全くの無駄に終わってしまったことに欲求不満を抱いていました。一方ライオンは嘆き、飢えと絶望に苦しみました。もう一度ライオンは狐を召喚し、彼女に鹿を捕まえるために他の罠を考えるよう頼みました。

    狐は自分の狡猾さの深淵を測りこう言いました。「これは本当に難しい仕事です。しかしそれにも関わらず、私はあなたの命令を実行するでしょう。」

    そして狐は追跡をしている猟犬のように熱心に、また罠とあらゆる種類の悪巧みを入念に考えながら鹿の後を追いました。狐は羊飼いに出会うたびに、血を流しながら走っている鹿を見かけなかったか尋ねたでしょう。そして羊飼いが確かにその鹿をちらりと見ていたならば、彼は狐に正しい方向を指し示したでしょう。

    狐はやっと、息を調えるために陰に隠れて足を止めていた鹿を発見しました。狐は鹿の前に立って、眉を吊り上げてじっと見つめ、その様子はまさに恥知らずの化身でした。震えが鹿の背筋に走り、憤慨で両足を震わせ狐に言いました。

    「ああ、あなたは何て嫌らしい生き物なんでしょう!それ以上近づくか、一言でも発してごらんなさい。一生後悔する事になるわよ!あなたが裏をかくことができるまぬけを他に探しなさい。他の誰かを王に選んで王位につけるといい!」

    しかし狐はひるまず鹿に向かって言いました。「そんな心無い事があなたにはできるのですか?恐怖で打ちのめされましたか?お友達を疑うのですか?ライオンはあなたにとってプラスになることだけを望んでいたのです!あなたを以前の怠惰から呼び戻そうと、あなたの耳を掴んだのです。父親が死の床で子供にするようにね。彼は王国を支配するためにあなたに必要なすべての教訓を与える事を望んでいましたが、あなたは彼の弱々しい手で触られることにも耐えられませんでした!代わりにあなたは乱暴に脇に退いて自分自身に深い傷を負わせました。今ライオンはあなたが信頼に値しないおっちょこちょいだと分かり、狼を王に任命すると言っています。ああ、悲しいかな。狼はどんな酷い主人になることでしょう!私はどうしたらいいのでしょう?私達全員にこれらの禍をもたらしたのは他でもないあなたです。しかし、一緒に来なさい。あなたは将来もっと勇敢にならなければなりませんし、群れからやってきた数匹の羊のように簡単に怖がってはいけません。私は木々についている全ての葉と、全ての水の泉に掛けてあなたに誓います。私はあなたに仕えたいのです。あなたにだけです!ライオンの態度に敵意は全くありません。彼はあなたを全ての動物の女王にすることを願っています。」

    これらの甘い言葉で狐はその黄褐色の鹿を、もう一度死神の住まいに入るよう説得しました。ライオンは鹿を洞穴の奥深くに追い込むや否や、フルコースの料理を楽しみました。彼は鹿の新鮮な肉を貪欲にむさぼり、骨から骨髄を飲んで、彼女の内臓を大いに楽しみました。

    一方、狐はそこに立ってじっと待っていました。鹿を連れてきたあと、彼女はその戦利品の分け前を渇望していたのです。彼女はこっそりと地面に落ちていた鹿の脳みそを手に掴んで丸飲みし、それはずる賢い狐が仕事で手に入れた褒美となりました。

    一方、ライオンは鹿の体の各部位の目録を作成しましたが、鹿の脳はどこにも見つかりませんでした。彼はソファーの周りと家中を探し回りました。

    すると狐はその事の真相をごちゃ混ぜにしてこう言いました。
    「あの鹿には脳が無かったのですよ。どうか時間を無駄にしないで下さい。一度ではなく二度もライオンの洞窟に来る生き物に、どのような脳を期待するというのですか?」

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