アウグストゥスと殺人

『アウグストゥスと殺人』の解説

  • タイトルアウグストゥスと殺人
  • 著作者イソップ(アイソーポス)
  • 書籍名アウグストゥスと殺人
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『アウグストゥスと殺人』の全文

    人の話しを信じるのは危険であり、それを信じないのもまた危険です。簡単に例をあげると、人々が継母を信じたためにヒッポリュトスは死にました。しかし人々がカサンドラを信じなかったためにトロイは滅びていまいました。

    この理由から、間違った意見が愚かな結論をもたらす前に真実を慎重に検討しなければなりません。そしてあなたが古代の風習とその神話を軽んじることがないよう、私自身の人生に起こった話もお伝えします。

    妻をとても愛している男がおり、彼の息子は男性の白いトーガをまとうのにほぼ十分な年齢に達していました。しかしながら、男の自由民の1人が彼の直系相続人に指定される事を望んでおり、男を横に呼んで息子についての嘘を延々と述べてさらには彼の忠実な妻の悪態をつきました。

    話しの終わりに彼は、妻を愛する夫に最大限の痛みをもたらすだろうと思った事を付け加えました。

    「その妻のところに姦夫が通っている」と自由民は言いました。「道徳的な堕落の行為によってあなたの家の評判は汚れてしまいました。」

    男は妻の恥ずべき行為を想像して憤慨し、田舎に旅行をする振りをして街に内緒で隠れていました。そして突然彼は夜に家に帰って、妻の寝室にまっすぐ向かいました。一方、彼の妻は成長した息子にしっかりと目を配れるように自分のベッドで寝るよう息子に指示をしていました。

    召使たちが灯を探して右往左往している間に、男はもはや爆発的な怒りを抑える事が出来なくなりました。彼はベッドに近づき、暗闇の中でそこに頭があるのを感じ取りました。それが男の髪型であることが分かった時、悲しみに対する復習以外は何も考えずに、彼の剣をベッドの中の男の胸に突き刺しました。

    ランタンが持ち込まれたとき、彼は自分の息子と高潔な妻が隣り合わせに寝ているのを目にしました。深く眠っていた妻は、何が起こったのか気付きもしませんでした。

    その男は、自らから進んで最悪の事を信じて抜いた剣で犯した罪の為、完全に罰せられました。

    告発人は妻に対しても罪を申し立て、彼女は裁判で裁かれるためにローマに連れて行かれました。妻は罪を犯していないにも関わらず、家族の財産を所有する事に対する嫉妬深い疑惑によって災難を受けたのです。

    彼女の支持者たちは横に立ってこの無実の女性を勇敢に守りました。裁判官たちは事の複雑さに当惑していたので、彼らが裁判官として立てた誓いを忠実に実行できるよう、神アウグストゥスに助けを求めました。

    アウグストゥスは先ず、妻に対して課せられた不公平な告訴の闇を払拭し、次の宣言を行って事の真相を明らかにしました。

    「この不正の原因となった自由民を処罰しよう!一方、息子を失い夫を奪われたこの女性は、非難よりもむしろ哀れみを受けるべきだと私は判断します。もし自由民が言い立てた内容を、父親が隅々まで調査して嘘を慎重に見抜いていたなら、恐ろしい犯罪によって家の完全崩壊をもたらす事はなかったでしょう。」

    あなたは聞いたもの全てを無視する事はできませんが、完全に無実の人が背信の犠牲者になる可能性もあり、思ってもいなかった人が悪漢である可能性もあるので、直ちにそれを信じるべきではありません。この例は単純な思考の持ち主たちに、噂から結論を導き出さないように警告する役割を果たすでしょう。

    人間の野心は多種多様で、時にはあなたが予想する形をとる事もあり、とらない事もあります。あなたが個人的に知っている人が、本当に知っている人であると言えるでしょう。(私はこの問題を長めに取り上げました。なぜなら、他の話しで私の過度の簡潔さにいらついている人がいるからです。)

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