プリンス

『プリンス』の解説

  • タイトルプリンス
  • 著作者イソップ(アイソーポス)
  • 書籍名プリンス
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『プリンス』の全文

    愚か者は噂の微風で飛ばされていってしまいます。自分自身の価値に対して過度に高い評価をすると、その馬鹿げた虚栄心はすぐさま彼を笑いものにしてしまいます。

    プリンスと呼ばれるフルート奏者がおり、彼はダンサーのバディロルスの伴奏をして以来、そこそこ知られるようになっていました。どのショーだったか良く覚えていませんが、1つのショーの最中にステージの機会設備が揺れてプリンスはステージに転落してしまいました。

    彼は左足を骨折し、顔面を(フラットに)打ち付けました。(彼はB-フラットのキーを演奏していたに違いありません)彼はうなり声をあげながらステージから担ぎ出されました。回復するまでに数カ月を要しました。演劇の観客は献身的でセンチメンタルなもので、彼の不在を寂しがりました。結局のところ、彼のフルート演奏は常にダンサーを一層高みに引き上げていたのです。

    ある著名な市民が公演を行う予定でした。その時プリンスは松葉杖をついて歩く事ができるようになっていたので、その男はプリンスに招待状(そしてチケット代)を渡し、そのショーの日にせめて顔を出すよう説得をしました。

    プリンスが劇場に到着するや否や、フルート奏者が帰ってきたと噂で会場全体がざわつきました。一部の人は彼は死んだはずだと断言しましたが、その他の人達は、今まさに彼は観客の前に姿を見せようとしているところだと主張しました。

    そしてカーテンが開き、いつもの演説をする神々の訪れを知らせる雷鳴があり、それから、数カ月間劇場から離れていたプリンスは聞いた事のなかった歌を合唱し始めました。

    その歌の繰り返しの部分はこうでした。「喜べ、ローマよ。プリンス(王子)は健康なのであなたはもう安全だ!」

     観客は立ち上がって拍手を送りました。フルート奏者はファンが彼の回復を祝っているのだと思い、彼らにキスを投げかけました。前列の人達はプリンスの愚かな勘違いに気が付き、笑いながら大声でアンコールを要求しました。

    その歌は繰り返され、我らがヒーローはステージに身を伸ばしてひれ伏しました。群衆は、プリンスが単にコーラスに敬意を表してお辞儀をしていると思いましたが、前列の者はあざけりの拍手を続けました。

    しかし最終的には観客全体がプリンスの勘違いに気が付きました。その時「プリンス」は白いガウンをまとい、足に白い絆創膏をつけ、さらには白いシューズを履いており、頭を下げてステージから降りていきました。彼の舞台からの退場は普遍的な賞賛を得ましたが、それは神聖なローマのプリンス(王子)カエサルその人に贈られた敬意だったのです。

  • 更新日
  • 投稿日