ワラと炭と豆

『ワラと炭と豆』の解説

  • タイトルワラと炭と豆
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名ワラと炭と豆
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『ワラと炭と豆』の全文

    ある村で、貧しいおばあさんが豆スープを作ろうとしていました。 囲炉裏の火を起こそうとワラに火をつけました。 

    おばあさんが豆をお鍋にうつしていた時、一粒の豆が床にあった一本のワラのそばに落ちて、それから一つの赤々と燃えた炭も囲炉裏から転げ落ちてきましたが、おばあさんはそのことに気づきませんでした。 

    そしてまず、ワラが言いました。「きみたち、どこからやって来たんだい?」

    石炭が答えました。「私は運が良く、囲炉裏から飛び出したのよ。もし逃げ出してなかったら、確実に、灰になって死んでいたところよ。」 

    そして豆が言いました。「ぼくも、無傷で逃げ出したんだ。もし、おばあさんがぼくをお鍋に入れてしまっていたら、他の仲間たちと一緒にスープになっていたところだ。」 

    「そうか、ぼくも運に恵まれたんだよ。」とワラが言いました。 

    「おばあさんが僕の兄弟みんなを火と煙でやっつけてしまったんだ。一度に60人の兄弟をつかんで殺したんだ。ぼくは幸運にも、おばあさんの指の間から滑り落ちたんだよ。」「でも、私たちこれからどうする?」と炭が言いました。

    「ぼくたちはとっても運がよく生きている同士なのだから、良い仲間でいるべきだよ。そして、ここにいてまた新たな災難がふってこないように、外国へ一緒に逃げようよ。」と豆が言いました。

    他の二人はその提案に大賛成し、連れ立って旅を始めました。 

    ところが、すぐに彼らは小川にやってきました。 

    橋も足板もなかったので、どうやって渡ればよいかがわかりませんでした。ワラが良い考えを思いつきました。 

    「ぼくが寝そべるから、きみたちは僕の上を橋のように歩いて渡ったらいいよ。」

    そして、ワラはこちらの川岸から向こう側まで寝そべって、せっかちな炭はその橋を、大胆にもわたり始めました。しかし川の途中に来たところで、足元から川の流れる音が聞こえてきたので怖くなって立ち止まり、結局前に進めなくなりました。ワラは燃え始めて、なんと二つに折れて川に落ちてしまいました。炭もそれに続き、大声で叫びながら川に落ちて死んでしまいました。 

    慎重に川岸に残っていた豆はそれを見て、笑いをこらえきれませんでした。笑いに笑い、あまりにも激しく笑ったので豆に裂け目ができてしまいました。

    幸いなことに、仕立屋が仕事探しに疲れて、川辺で休んでいました。彼がいなかったら、豆の裂け目は今も開いたままだったでしょう。とても親切な仕立屋だったので、針と糸を取り出して豆の裂け目を縫ってくれました。豆は仕立屋に丁寧にお礼を言いました。 

    仕立屋は黒い糸を使いました。そういう訳で、その時からずっと、豆にはぜんぶ黒い縫い目の線があるのです。

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