白雪と紅薔薇(ばら)

『白雪と紅薔薇(ばら)』の解説

  • タイトル白雪と紅薔薇(ばら)
  • 著作者グリム兄弟
  • 書籍名白雪と紅薔薇(ばら)
  • 制作年?
  • 製作国不明
  • 言語不明
  • 著作権状態パブリック・ドメイン
  • 『白雪と紅薔薇(ばら)』の全文

    その昔、夫を亡くした貧しい女性が町から離れた小さな家に住んでいました。家の前の庭には二本の薔薇の木が立っていて、一つの木には白色、もう一つには赤色の薔薇が咲いていました。女性には二人の子どもがいて、薔薇の木のように、一人は白雪、もう一人は紅薔薇と名付けられていました。

    二人は世界中の子ども達の中でも、幸せで楽しく、そして忙しいけれど明るい子どもでした。二人の違いといえば、白雪は紅薔薇よりも静かで落ち着いた子どもでした。 紅薔薇は花を探し、蝶を捕まえるために草地や野原を走り回ることが好きで、いっぽう白雪は母親と家で過ごし、家事のお手伝いや、やることがない時には母親に本を読んであげていました。

    二人はとても仲が良く、出かける時はいつも手を繋いで出かけました。白雪が「私たちは離れないわ」と言うと紅薔薇は「生きている間はずっと一緒よ」、そして母親が「一人が持つ物は分け合いなさい」と言い足しました。

    子ども達はよく森の中を駆け回りましたが、赤いベリーを集めたりしても、野獣に襲われることなく、むしろ野獣達は二人を信用して近づいてきました。小さな野うさぎは子ども達の手からキャベツを食べ、ノロジカは近くで草を食べ、雄鹿は 楽しそうに近くで飛び跳ね、鳥達は大枝にとまり知っている歌を歌いました。

    二人は怪我をすることもなく、もし森の中で暗くなって帰れなくても、お互いに寄り添ってコケの近くで朝が来るまで寝ても、母親は子ども達の行動を心配することはありませんでした。

    ある日、子ども達が夜明けとともに目が覚めたら、二人の寝床の近くには白く光るドレスを着た子どもが座っていました。その子どもは立ち上がり、とても優しい眼差しで二人を見つめ、何も言わずに森の中へと入って行きました。二人が周りを見渡すと、崖にとても近いところで寝ていたことに気がつきました。あと数歩進んでいたら谷底まで落ちていたでしょう。母親は、きっと天使が良い子ども達だったから 守ってくれたのでしょうと言いました。

    白雪と紅薔薇は、母親の小さな家を見るのが幸せになるほど、家の中を奇麗にしていました。夏は紅薔薇が家事を担当し、毎朝、庭の木から薔薇を一本ずつ取り、花束を母親が目覚める前に ベッドの横に添えました。冬は白雪が火を起こし、やかんをストーブの上にかけました。そのやかんは銅からできていて、金のように光るまで磨かれていました。夜になり、雪片が降ってくると、母親が「白雪、早く扉に掛け金をして」と言い、みんなで炉床を囲んで座り、母親は眼鏡を取り大きな本を大きな声で読み、子ども達はそれをじっと座りながら聞きました。すると近くに子羊が座り、さらに奥には白い鳩が顔を羽で隠しながら木の上にとまっていました。

    ある日の晩、みんなが一緒に心地よく座っていると、誰かが家に入れてもらえるかのように扉をノックしてきました。 

    母親は「紅薔薇、早く扉を開けて。旅人が寝床を探しているのだわ」と言いました。紅薔薇はきっとかわいそうな人だと思い、掛け金を外しました。すると、それは熊の大きな頭の後ろをドアにこすりつけていました。 紅薔薇は叫び驚いて後ろに下がると、子羊も鳴き声を上げ、白い鳩も羽ばたいて飛んでいき、白雪は母親のベッドの後ろに隠れました。

    すると、熊は話しだしました。「怖がらないで、私はあなた達を傷つけません。私は凍えていて、少し近くで体を暖めたいのです。」 「可哀想な熊だわ。」と母親が言いました。「火の近くで横になってください。ただし、毛に火が燃えうつらないようにだけ気をつけてください。」

    母親は「白雪と紅薔薇、出てきなさい。熊は本当にあなた達を傷つける気はありませんよ。」とお願いしました。そうして二人が出てくると、

    次々と子羊、白い鳩も出てきて近づきましたが、熊のことを恐れることはありませんでした。

    その熊は言いました、「子どもたちよ、私の毛皮についた雪を払ってください。」すると二人はほうきを持ってきて、熊の届かない所を掃き落としました。火のそばで熊は伸びをして、気持ち良さそうに、満足そうにうなりました。熊と子ども達はすぐに仲良くなり、“どんくさいお客様”と遊び始めました。子どもたちは熊の毛を手で束ねたり、足を熊の背中においたり、熊を転がしたり、ハシバミのムチで叩いたり、そして熊がうなると子ども達は笑いました。

    しかし熊は寛大に受け止め、あまりにも激しい時だけに「子ども達、私を生かしてください!白雪ちゃん、紅薔薇ちゃん、あなたは恋人を倒せますか?」と大きな声を上げました。

    寝る時間になり、他のみんながベッドに行くと、母親が「そこの炉床で横になってください。そうすれば、寒く悪い天気から安心できますよ。」と熊に言いました。夜明けとともに、二人の子どもは熊を外に出してあげ、熊は早足で雪の森の中へと入って行きました。 それから熊は毎晩、同じ時間にやってきて、炉床に横になっては、子ども達を思う存分に楽しませてくれました。とても仲良くなったため、家の扉は黒い友達が来るまでは開いていました。

    春が来て、外が緑に覆われる頃、ある朝、熊が白雪に「私は行かなくてはならない。夏の間は戻って来られない」と言いました。白雪は「熊さん、どこに行かなくてはならないの?」と聞きました。「私は森の中に帰り、宝物を悪い小人達から守らなくてはいけないのです。冬は土が凍っているからありがたいことに取り出せないけれど、これから雪が解けて地面が暖まり、取り出せるようになると盗むために探しに来るのです。もし宝物が小人達の手に渡り、彼らの洞窟の中に持って行かれたら、二度と太陽の光を見ることができなくなるのです。」

    白雪は熊がいなくなることをとても悲しみました。熊のために扉の掛け金を外し、熊が急いで外に出た時、掛け金 が熊に引っかかり熊の毛皮の一部が取れ、白雪はそれが確かではないけれど、光る金のように見えました。

    熊は急いで走ってゆき、すぐに木々で姿が見えなくなりました。それから間もなくして、母親は子ども達に森の中へ薪を取ってくるように頼みました。そこで子ども達は地面に横たわった大きな木を見つけ、その近くに何か分からないものが前後に飛び跳ねているのを見つけました。

    さらに近づくとそこにしわしわに老いた顔をし、一メートルもある真っ白なヒゲのはえた小人を見つけました。ヒゲの先っぽが大きな木の割れ目に挟まっていて、どうして良いかわからない小人はまるでひもに繋がれた犬のように前後に飛び跳ねていました。 小人は燃えるような赤い目で女の子達を光る眼差しで見つめ、 「なぜそこに立っている?どうしてここに来て助けてくれないのだ?」と泣きました。

    「そこの小人さん、何をしているの?」と紅薔薇が尋ねると、「ばかやろう、何覗き込んでいる!」と小人は答えました。「俺たちは料理に使う少しの薪のため、木をわりに来たのだ。俺たちの一人が食べたかった小さな食べ物が大きな丸太で焦げてしまって、俺たちはお前たちみたいに欲張りにフォークを使ったり、飲み込めないから。木のはじを安全に思った通りに切ったのに、木の割れ目が滑らかで、突然に跳ねるように裂けて、すごい早さで閉じてしまったのだ、俺の奇麗な白いひげが挟まって取れないし、だから動けない!おばかな白い牛乳みたいに滑らかな面しやがって!笑うがいい!あああ!なんて憎たらしいやつらだ! 」

    子ども達は頑張ったが、一瞬で挟まったひげを引っ張りだすことはできず、「私が誰かを呼んでくる」と紅薔薇は言いました。「全く無神経なカモだな!」と小人が怒鳴りました。「どうして誰かを連れてくるのだ?既に二人いるじゃないか!俺には十分だ!何か他にいい方法はないのか?」

    白雪が「落ちついてください。」と言いました。「私があなたを助けます。」と言って、ポケットからハサミを取り出し、ひげの先っぽを切りました。

    自由になると共に、小人は木の根の近くに置いていた金がたくさん詰まった袋を掴み持ち上げ、「やぼな人間め、私の高価なひげを切るなんて、なんて不吉なことを!」と呟き、袋を背中に担いで一度も子ども達を見ることなく去って行きました。

    しばらくして、白雪と紅薔薇は魚を捕まえに出かけました。小川に近づくと大きなバッタのようなものが水に向かってまるで飛び込むかのように飛び跳ねていました。子ども達は走って近づくとそれは小人でした。「どこに行くの?水の中に入らないの?」と紅薔薇が尋ねると、「私は馬鹿ではない!」と小人が嘆きました。

    「意地悪な魚が俺を引き込みたいのが分からないか?」小人は座って魚を釣りに来ていて、不幸なことに風によってひげと釣り糸が絡まってしまったのです。丁度その時、大きな魚が捕まり、引っ張る力のない弱々しい小人を 、大きな魚は優位に水の方に引っ張りました。河辺の草々に捕まっても、役に立たず、魚の動きに引っ張られていて、小人は水の中に引き込まれそうになるほど緊急事態でした。

    二人は丁度良い時にやって来て、まず小人を押さえて釣り糸に絡まったひげを取ろうとしましたが、全く無駄で、ひげと釣り糸は素早く巻き付いてしまいました。はさみを持って来てひげを切る意外、何も解決法はなく、白雪はひげの先っぽを切りました。小人は切られたひげを見て、「人の見た目を損ねて、これが常識のあるやり方か、毒キノコみたいなやつめ!ひげを切って満足しなかったのか?今回は一番大切な部分を切ったぞ!仲間に見せる顔もない。お前たちは一生靴底がすり減るまで走り続ければ良い!」と叫びました。

    そして、茂みに集めて置いてあった真珠を持って、石の裏へと何も言わずに消えて行きました。 母親が子ども達に、針、糸、レースとリボンを町へおつかいに頼んだ時にそれは起こりました。あちこちに大きな岩が転がる荒れ地の中を横切る道を通ったとき、二人は大きな鳥が羽を羽ばたかせながら空を飛んでいるのに気づきました。二人の周りをゆっくり飛んでいた鳥は、徐々に低く飛び始め、さほど遠くない岩に止まりました。その直後、大きな悲しい声が聞こえました。二人が走って近づくと、そこで恐ろしい光景を目にしました。

    ワシがなじみのある小人を捕まえて、連れて行こうとしていたのです。 子ども達はとても可哀想に思い、小人を強く抱きかかえ、ワシから遠ざけようと長い時間引っ張ると、ワシは獲物を離してくれました。小人は恐怖から解放されるとかん高い声で「どうしてもっと丁寧に助けてくれなかったのだ!私の茶色のコートを引っ張るから穴だらけではないか!この哀れな生き物め!」と嘆いて、宝石がたくさんに入った袋を担いで、岩の下の穴の中へと滑り降りて行きました。

    この時、二人はすでに小人の態度には慣れていたので、買い物をすませに町へと向かいました。二人が帰り道に荒地をまた横切ろうとすると、奇麗な場所で、小人が宝石の入った袋を空にしていました。誰もこんな遅い時間に訪れることはないので、小人はとても驚きました。

    素敵な宝石はまるで夜の太陽のようにいろいろな色をキラキラと耀やかせ、それがあまりにも美しく二人は立ちながらじっと見つめました。「どうして口を開けてそこに立っている?」と小人が嘆くと、灰色の顔色は怒りと共に銅赤色へと変わりました。そしてまた口悪いことを言い始めようとしたところに、唸りながら黒い熊が早足で森の中からやってきました。小人は恐怖に包まれたが、洞窟に逃げるには熊がすでに近すぎました。そして怯えながら嘆きました。

    「熊さん、すべての宝物をお渡しするので、許してください。見てください!そこに横たわる宝石たちを私の命と引き換えに。私のような歯の隙間に入るほど細い体は欲しくないはず。この意地悪な女の子達は若い太ったウズラのようにあなたにとって食べごろでしょう、連れて行っても構いません。どうか食べてやってください!」

    熊は小人の言うことは気にすることもなく、呪われた生き物を手で吹き飛ばし、小人は二度と動きませんでした。二人は逃げていました。

    すると熊が「白雪ちゃんと紅薔薇ちゃん、恐れることはありません。そっちに行くから待ってください。」と呼びとめました。そして、二人はその声に聞き覚えがあったので、待ちました。熊が二人に近づくと、突然、熊の皮膚は落ち、そこに金の服を着たとても素敵な男の人が立っていました。

    「私は王様の息子です。私の宝物を盗んだ意地悪な小人に魔法をかけられ、私は野生の熊のように森の中を小人が死んで自由になるまで走り続けていました。小人は受けるべき罰を受けたのです。」と彼は言いました。

    白雪はその王子と結婚し、紅薔薇は彼の兄弟と結婚しました。そして小人が洞窟に隠していた高価な宝物をみんなで分け合いました。歳をとった母親は、幸せに楽しく二人の子ども達と暮らしました。母親は二本の薔薇の木を持ってきて、部屋の窓の前に置き、毎年奇麗に咲く白と赤の薔薇を楽しみました。

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